アキハバラ@DEEP 石田衣良著

んー、やっぱりすごい、バリバリの流行作家だ。 あと何年かしたら、この人はどんな作品を作るんだろう。村上龍みたいになるのかなー。たのしみだ。いろんな意味で。 今日のお昼に買って、5時間ほどで読み終わった。この人の作品は、読みやすい。文章が平易で…

赤毛のアン

そうか、悲しい話はこう書けば良いのかぁ。 それを痛感した作品。 正直、最初はかったるい。アンはずっと空想ばっかりでどこか悲観的でうっとうしい。単なる妄想癖のあるキチガイ少女だ。「どこか憎めない」とか書いてあるけれど、あたしは憎いぞ。隣にいた…

池袋ウェストゲートパーク Ⅱ Ⅲ

一気に読み終える。これは以前、シリーズ一作目を狭子様にもらって読んでおもしろいとおもっていた。現代の申し子ともいえる作品。これからもずっとシリーズで書き続けてほしい。 主人公がお高くなくて、けれど主人公であるためのヒーロー性をしっかりもって…

high and dry よしもとばなな

数時間で読了。いやぁ、まいった。 先日、かずくんとのメールでのやりとりでこんなのがあった。 かずくんが、ある人の書いた文章をわたしに見せて、その感想を送ったのだけれど。 「これ書いた人は、こういうドロドロしたものも良いけれど もっと幼い子供の…

五分後の世界 村上龍

ずーーっと以前に狭子様から勧めてもらってた作品。タイトルが不思議でずっと気になっていた。偶然、うちの本棚で見つけた。ワカコがもっていたのだ。 「これ、どんなんやった?」 「あ、それな。時計が遅れてて死ぬねん」 ワカコは本や映画の内容を毎回ほと…

こころ 夏目漱石

日本を代表する作家は? そう聞かれたら、やはり夏目漱石と答えてしまう。 まず、読みやすい。いい文章は詰まらない文章。Nさんと二人でよく云ってるのだが。読みやすいものとは、イコール入ってきやすいものだ。吸収しやすいものは、身体に優しい。 夏目漱…

太宰治 人間失格

敬遠していた太宰治。わかの本棚にあるので、なんとなく読んでみた。なるほど、これはおもしろい。 今まで敬遠していた大きな理由は、太宰治がすきだと云う人に、私の好きなタイプの人間がいなかったからだ。太宰好き、イコール、おりえの嫌いな人間。たった…

十二国記 わかちゃん、ついにハマる

3日ぶりに家に帰ると、わかが起きてきてもじもじしている。気持ち悪いので無視していると「見ちゃった」と照れて笑った。何を? と思い訝しんでいると「漫画読んだら続きが気になって、DVDも一気に見ちゃった」と。 あー、見たのか、ついに。うっはっは。お…

銀曜日のおとぎばなし 萩岩睦美 著

眠れずに昨日買った漫画を読んでいる。ずっと号泣。なんでこんなに朝っぱらから泣いてるのか。自分で呆れる。ポーの純粋さがたまらん。萩岩睦美の作品を読むたびに、あたしはなぜか、うちの長女のことを思い出す。声を聞くだけで背筋が伸びるような厳格さと…

恋 小池真理子著

ものすごい読みごたえのある作品だった。すげーおもしろい。ずっと秘密にされていた内容は、正直「なんだよ、こんなことか」と思ってしまったのだけれども。それでも、全てのキャラが全部ちゃんと立ってて、めちゃくちゃおもしろかった。 ふうちゃんと雛子。…

三原順 & 萩尾望都

なんか、書きたくなかった。あたしの胸に大切にしまっておきたかった作品。高校のころに見つけたのが最初だろうか。お金がなくて、安い文庫本を必死に漁っていた頃に出会った漫画だ。こんなに深く、痛切な漫画があったのか、と初めて漫画の奥深さを私に教え…

欲望という名の電車 テネシーウィリアムズ著

3回読んだ。何度読んでも飽きない。古本で必死に探し出した本なのだけれども。これで200円は安すぎると思った。もっと出しても良いくらい楽しんでいる。けれども、内容は楽しくはない。どちらかと云うと、もの悲しい、とても切ない物語だ。 女が年老いていく…

水辺のゆりかご 柳美里著

「柳美里って、知ってるか。あいつはな達者なうそつきや。作家になるために産まれて、なるべくしてなった作家や」 師匠の口から名前が出たものは絶対に目を通すことにしている。小説でも映画でも、何でも。早速探しに行って、なんとなく「ゆりかご」って響き…

SLY よしもとばなな著

きっと去年の私だったらよしもとばななは感じない作家だったろうな、と思う。極一部の人は知っているが、私はここ数年精神的に病んでいる人ばかり相手にしていた。すぐに人に共感してしまうので、気を抜くとヤラれてしまう。うっかり共感しようものなら、1ヶ…

 「蛇にピアス」金原ひとみ

素直におもしろかった。綿谷りさよりも、こっちのが深くて、人間が動いてる。綿谷りさのは、乾いた空気が流れていくみたいな感じだったけれども、これは、人間が動くから、周囲の空気も動いちゃうのよ、みたいな。そんな感じがした。若いから書ける。でも、…

「窓際のとっとちゃん」黒柳徹子

私が初めて読んだ活字だけの本が、これだ。 小学校一年生の私に、一番上の姉が与えてくれた。字ばっかりの本を読める子だと思ってもらえたことが嬉しくて、私はこの本を夢中で読んだ。あの頃とはまた違った感想が、今ある。この本を読んでいて、葉月のことを…

「岸和田少年愚連隊 望郷篇」中場利一

味がある。深い味わい。これぞ大阪。これぞ風土作家(違。今日届いて、3時間で読了。一気に読める。流れるように入ってくる。大阪の北部で生まれ育った私は、大阪弁ではあるけれども、言葉は比較的きれいだ。南の方の人と接すると、必ず云われる。 「北の方…

「地獄変」 芥川龍之介

何度読んでも良いものは良い。 私は芥川龍之介が嫌いじゃない。芥川龍之介と坂本龍一が、私の中で「嫌いじゃない人」ベスト2だ。大好きってわけでもお気に入りってわけでもないけれども、圧倒される。そんな存在だ。夏目漱石の本が、今の値段に換算したらだ…

「岸和田少年愚連隊」 中場利一

私は中場利一がとてもとても好きだ。 粗雑で、洗練されてなくて、文章もそんなにうまいとは、はっきりいって云えない。けど、それを補って余りあるだけの勢いと味がある。たまらん。 最初、岸和田少年愚連隊 望郷っていうビデオを見た。 最近目が肥えてきた…

 「「オンリー・ミー―私だけを」三谷幸喜

大学の頃に初めて読んで、電車の中で声を出して笑った。 そのままどこかに置いてきてしまって、途中で生き別れてしまった。そして6年も経って、再び出会ってしまった。脚本家 三谷幸喜のエッセイ集なんだけれども、この人のエッセイは本当におもしろい。 と…

 「少年ジャンプがぼくをだめにした」姫野カオルコ『サイケ』より

姫野カオルコって良い。 前に読んだ、同じ『サイケ』収録の2作は同時期に書かれたものなのかな。これはまた少し違う。すっごい感情移入できる。できていいのか、とも少し思うが。 「ジャンプに股をばんばんぶつけた」 すごい表現だと思った。なるほど、こう…

「サンクチュアリ」よしもとばなな

これぞ文学だなぁ。 タイトルも絶妙。 山田詠美よりスキだな。 すごく対照的。野性的ではなく、とても繊細で儚い。 芯の強い、けど、守ってあげたくなる。そんな印象がある作家だ。 人が死ぬってこと。 それは、もう会えなくなるってことなんだ。 その人が死…

「うたかた」吉本ばなな

ずっと敬遠していた吉本ばなな。 師匠に「おまえの感性に近い」と云われ読んでみた。「うたかた」は少し遠い。 何かが書ききれていないような気がする。 おもしろいんだけど、足りない。 もどかしい感じ。 一緒に文庫に入ってるサンクチュアリを途中まで読ん…

「蝶々の纏足」 山田詠美 [『風葬の教室』より]

まったく逆だ、と痛切に感じた。 もしも同じものをあたしが描いたら、主人公は、こっちの子じゃない。 すごくよく分かる女の子同士のあり方。 友達だと言い張り、互いを干渉し合い足を引っ張りあい。 そして妬む。 たくさん見てきたそんな関係を、こんなにあ…

「インザミソスープ」村上龍

肉片をドアに塗り付けるシーンを読んだ日。 家に帰るのが怖かった。 中学生の頃から、すごく不思議に思っていたことがあった。 なぜ、ドラマや本なんかでレイプされた女性は、いつも生理中じゃないんだ。女性の生理には周期があって、「生理はうつる」って言…

「インストール」綿矢りさ

これはまさに現代の作品だなって感じ。 石原慎太郎が芥川賞を取ったときもこんな感じだったんだろうな。 内容はおもしろいけれども、最初と最期の方でずいぶん文体が変わるのはなぜだろう。 書いてる間に勢いが変化したのか。 それとも、主人公の気持の移り…

姫野カオルコ 『サイケ』

1個目「イキドマリ」巧妙で、肌で書いてる作品というよりも、記憶と妄想を絡み合わせてリアルなレベルに引き下ろしてるって感じ。これはこれで秀逸。 人を数字に例えるところや、カツカレーの話は巧い。 この人の作品は、単語を効果的に用いてるな、と思う。…

山田詠美 「風葬の教室」

すごい。 恋愛ものよりも、こういう子供の頃の話の方が、あたしの肌には合ってる。 山田詠美は肌で文章を書いてる作家だと思う。 あまりにも巧い。「心臓が押し上げられるような感覚」すごい表現だと思った。