自動ドアを通り抜けると、おじさんが私に声をかけてきた。

現実には知らない人だが、私はおじさんを使用人のように感じている。

『姫、これができ上がりました』

そう言って、おじさんは海苔巻きのおかきを一枚、私に手渡した。

私は違和感なくおかきを受け取る。まだ温かい。

自動ドアは二重になっていて、もう一つドアを開かないと中には入れない。ドアの向こうはスーパーのようだ。

私はおじさんに『どこ?』とたずねる。いったい何がどこなんだか分からないが、そう言った。

おじさんが『こちらです』と、私を案内した場所は、造り酒屋だった。

平屋の一戸建てに入ると床一面を掘り起こして酒が入っている。木枠で1mごとに足場が作られており、男性が幾人か、酒をかき混ぜている。

その平屋のはじに、畳一枚ていどのスペースがあり、そこでおかきを知人が焼いていた。

おかきを焼いているのは、ガラス窓一枚を通して外から見える。
私はガラス越しにおかきがひっくり返されるのを見ていた。何枚かのおかきは、焼いている途中なのに、すでに海苔が巻かれてある。

最近みた夢

◆母が点滴をしている。なぜ点滴をしているのかを聞くと、ガンになったという。それはうそだ、うちの家系はガンにはならないと言うと、うそだ、と答えた。
母の点滴の袋の中身が泡ぶくになり溢れ出て、ぶわっと母の頭にかかる。そのまま流れ落ちる水泡と点滴の針を通して、体内に入っていく水泡。ぬらりと母の体が光り、床に半身が埋まった。


中学三年生の姪が電車の中にいる。電車だが、教室で、私は彼女を入り口から見ている。
どこからか、姪が結婚したとの声が。知らなかった話だが、大して驚きもせず受け入れる。

学校はちゃんと行っているし心配はいらないな、とぼんやり考えていると、結婚相手の姿が。
高校には行かずに働いている、ちょっとグレた感じの男の子。純粋に姪を想ってくれているのが伝わってくる。

次のシーンで制服を着た姪と、白いシャツを着た男の子が、ホームで電車を待っていた。姪は立ち、男の子はその横にしゃがんでいる。白いシャツが印象的だ。

日記を書くことにする!

日記にならずに、きっと身辺整理… うん。身辺整理だ。
なので、どんなアコギで腹黒いところを知っても、私はおりえを愛してるよ!
と断言できる、おりえに夢を持っていない人は連絡を下さい。

ここで書こうかとも思ったんだけど、なんだかちょっとダメみたい。
だから引越しするですよ。

私は一番付き合いの長い友人に
「最近さー、小悪魔とかはやってるけどさ、あんなん甘いよな。
 小悪魔ってのは、しょせん小さいねん。相手にバレてるわけやん、
 もてあそんでるのが。 あんなん、あんたを知ってたら、
 しょーもなーって思うわ。あんたは小悪魔じゃなくって悪魔やもんな」

と大ジョッキを片手に語られた私の素を知ってもダイジョブな人のみ、どうぞ。

ひどい、とか、もっと相手の気持ちを考えてあげて! というお説教をしてしまいそうな人はご遠慮ください。

そんなこたー重々承知でやってんだから。 けっ。

と思ってしまうのが関の山ですごめんなさい。

siwori@msn.com メル頂ければ幸いです。

ちょっとだけ

弱っていたら、怒られた。
私の周囲にはいつもなぜかたくさん人が居て、みんなが優しくしてくれる。

今、ずっと一緒に仕事をしたかった大好きな編集者さんと組めることになり、毎日のように連絡を取り合っているのだが、その人が私を「姫」と呼ぶ。

「姫、あの原稿、いつまでに仕上がる?」

敬語ではないところが、また嬉しい。
小さい頃から、私はどこに行っても誰かに「姫」と呼ばれるので違和感はないのだが、今回の相手は某出版社のヒットメーカーなだけに、ちょっと照れくさい。

このヒットメーカーは、とんでもなくマメで、真綿で締め付けるようなプレッシャーを与えてくれる。

「姫に任せておけば、おもしろい原稿があがってくるからねぇ」

おもしろいもの書かないと!

私はそんな些細なことで、弱る。

勝手に泳がせておいてくれれば、いくらでも書き殴れるのだが、ちょっと負荷をかけられると、途端にぺしゃんこになるのだ。

ちっちゃいなー、あたし。

嘲笑してる場合じゃない。
こんな日記書いてる場合でもない。

たった38W×20Lが、もう4時間も真っ白な原稿用紙のままだ。

締め切りは明日。
頑張れ私。

今日の出来事

Tくんが今、うちの近くで大きなアミューズメントパークを作っている。
体育館より広いと云うが、どこの体育館なんだよ、と心の中で突っ込みつつ、話の腰を折りたくないので私は黙ってうんうんと聞き入る。こんな機械が入って、こんなイベント会場があって。ご飯を食べながら、彼が、遠足の様子を母親に伝える小学生のように、少し大げさに、そして多分の期待と興奮をまじえて現場のことを教えてくれたのが一月前。

今日、夕方、電話があって。
頼みがあるんやけど。動けるか?

動かないとあかんのん?

取り置きしてあるアクリルの半球体、250パイのを渋谷のハンズでもらってきてくれ。

…んで、持って来いってこと?

電話を何度も左右に持ち替えて、私は話しながら家を出る準備をしていた。この人の頼みだけは、断れないのだ。

夕方から行かなくてはならないところがあったんだけれども。連絡して遅れますと伝え、私はいそいそと渋谷に向かった。

ハンズでTくんの名を名乗り、アクリルの半球体、12個を受け取る。
お会計、25,000円。

てめー、こらっ。金がいるんなら先に云わんかい!

めちゃくちゃムカついた。持っていたから良かったものの。手持ちの金がなかったら、渋谷に行ったわ受け取れないわ、でえらい無駄足を踏むところだった。

あんまり頭にきたのですぐに電話した。

お金いるんなら、最初に云わないとあかんでしょ!!

ああ、ごめんごめん。

電話の向こうでは慌しくたくさんの人が動き回っている音がする。

電車を乗り継ぎ、急いで現場に向かった。
あたしは怒りがおさまらず、ぷりぷりしたままTくんが出てくるのを待っていた。

ガツンと云ってやる。今日こそはキツイお説教をしなくてわ。

何度も云いたいことを頭の中で反芻していると、Tくんが出てきた。

白地に柄の入ったシャツを上品に着こなしている。やっぱり今日も、靴はピカピカだ。

駆け寄ってきて、云う。
「ほんまに助かったわ。ありがとう。ほんまに、ありがとうな」

満面の笑み。
つられて私も笑顔になってしまった。

「うん。はよ現場戻り。これ、待ってたんでしょ」

ハンズの紙袋にずさんに入れられた半球体12個を手渡し、Tくんから3万円受け取った。

緑色でハンズと書かれた紙袋がこんなに似合わない男もいるのか。
今度はもっと良い袋に入れ替えて持ってこなくては…
そんなことを考えながら、私より15センチ大きなTくんを見上げると目が合った。
やっぱり笑顔のままで、

「ありがとう。ごめんな、急ぐから戻るわ。また連絡するから!」

颯爽と走る彼の後姿を見つめ、間に合って良かったぁ〜と一息ついて気づいた。

くそっ。
また怒るん忘れてた!!

でももう、ムカついてた気持ちがちっとも残っていないので、またいつか、腹を立てられる日まで、お説教はひとまず延期だ。今怒っても、またはぐらかされて、説教の最後には「可愛いなぁ」「愛しいなぁ」と感じてしまうのが目に見えている。

今度は会うなり笑顔に誤魔化されないように、耐性を鍛えなくては、と、帰宅して決意を新たにしてはみたけれど。あの笑顔には勝てないってことは、あたしが一番知ってるんだな。

ふてぶてしく、あつかましい。

どんなに図々しく、空気の読めない人間でも。
それを自覚している人は、愛せる。

「あたしって厚かましいからな。あっはっは」

笑い飛ばしてくれれば、あたしも一緒に笑えるし、腹も立たない。
この子は、こういう子。

ぜんぶを受け入れてしまえば良いだけのことだ。

けれど、無自覚なのは気に入らない。

女で厚かましいのは、どこか許せるけれど。
男で図々しいのは、軽蔑してしまう。

この差はなんなのだろう。

プライドないなぁ。

自分ができてもいないくせに、偉そうに他人に説教してるのは、見ていて恥ずかしい。

昔はできなかったけれど、今はそんなことないよ。

きっと、そう云うんだろうけれど。

本質的に「恥」を知らず、書籍によって得た知識で偉そうに言葉を操っているだけの君には、まだまだ他人にどうこう云う資格なんてないのだよ。勿論、私にだって、ない資格はたくさんある。けれど、この一点だけは、私には云える。

君はまだまだ自分をかわいそうだと思っているし、他人の痛みも分かっていない。

痛い痛い子のまんまだよ。
もっと本質を見極めなさい。いい年して、恥ずかしいよ。

と書いてみても、きっと自分のことだなんて思いもしないんだろうけれど。

近況報告

1、作家、団鬼六のサイトを管理することになりました。
2、それにともない、団さんのブログを書いています。
3、また、それにともない、花紅舎(団鬼六事務所)の取締役の名刺を切ることになりました。
4、法瀧の新しい鑑定コンテンツがヤフーで公開されました。

http://charge.fortune.yahoo.co.jp/zap/senkohji/input/ns2008.html

一個500円くらいなので、できたら一度試して、感想を聞かせてもらえれば嬉しい。

感想は siwori@msn.com に送ってください!
今後の参考資料にさせていただきたいです。
できれば年齢と性別も教えてください。

いろいろあるけれど、すごい勢いで前進していることは間違いないから、もちょっと見ててちょ。