太宰治 人間失格

敬遠していた太宰治。わかの本棚にあるので、なんとなく読んでみた。なるほど、これはおもしろい。
今まで敬遠していた大きな理由は、太宰治がすきだと云う人に、私の好きなタイプの人間がいなかったからだ。太宰好き、イコール、おりえの嫌いな人間。たったそれだけで避けていたのだが。
今日、人間失格を読み終えて、分かったことがある。太宰治が好きな人には2種類いる。
ちょっと変わった人間でありたく、また自分を特別繊細だと思い込みたい人間。こういうタイプは、自分の理想と太宰の作品に出てくる主人公を重ねて「そうそう、そう思うよね」などと浸るのが楽しいのだ。そして、そういうタイプは例外なく無神経で図太く、自分の失敗を本質的には受け入れない。
もう1種類は、好きなのとおもしろいのとを混同してしまっている人。好き と おもしろい というのは、違う感情だ。一つの文学作品として優れているので、おもしろい読み物として完成されている。それを「好き」だと感じるか、単に「おもしろい」と感じているのか。そこらへんがごちゃごちゃになっているんじゃないかと思う。
太宰治はおもしろかった。けど、好きにはなれない作家の一人だ。自分の感情を的確に表現するのはむずかしい。