「インストール」綿矢りさ
これはまさに現代の作品だなって感じ。
石原慎太郎が芥川賞を取ったときもこんな感じだったんだろうな。
内容はおもしろいけれども、最初と最期の方でずいぶん文体が変わるのはなぜだろう。
書いてる間に勢いが変化したのか。
それとも、主人公の気持の移り変わりを描いたのか。
どっちにしても気になる。
ところどころ違和感があって、感情移入はできないけれども、ストーリーはすごくおもしろい。
直木賞ではなく芥川賞だな、という感じ。
この作家が、若いうちに開花しちゃって、早く潰れたらイヤだなぁと思った。この感性が消え失せて、磨耗してしまわないように、この作家の周囲の人たちが大切に守ってあげられたら良いな。そして本人も、それを自覚できていたら良いな。
感性で書いてる作家はいつか磨耗してすり減っていってしまう。特に、若い作家は、自分の中の引きだしが少ないから、底をつくのが早いんだ。
そうならないように、祈る。