「岸和田少年愚連隊 望郷篇」中場利一

味がある。深い味わい。これぞ大阪。これぞ風土作家(違。

今日届いて、3時間で読了。一気に読める。流れるように入ってくる。大阪の北部で生まれ育った私は、大阪弁ではあるけれども、言葉は比較的きれいだ。南の方の人と接すると、必ず云われる。
「北の方の子やなぁ。言葉がお上品や」
私はそれを聞いて毎回笑う。確かに南の方の人の言葉は同じ大阪のはずなのに、ときどき分からないことさえあるのだから。そして「何を怒っているのだろう」と思うくらい、みんな荒々しい。怒ってないのは分かるのだけれども、関東の人が私に対して「怒ってるの?気分悪くした?」と尋ねてくるのも頷ける。関東の人たちが大阪南部の人と接したら、ビビッて言葉も出なくなるんじゃないかと思う。

そんな南の空気をいっぱい充満させて放出させてるのが、中場利一の作品だと思う。これが私が最初に観て惚れた映画の原作だ。

登場人物がおそらくすべて実在するのだろう。みんな生きてる。

決して文章はうまくない。
でも、中場利一は、「作家」だと思う。
大好きだ。