「サンクチュアリ」よしもとばなな


これぞ文学だなぁ。
タイトルも絶妙。
山田詠美よりスキだな。
すごく対照的。野性的ではなく、とても繊細で儚い。
芯の強い、けど、守ってあげたくなる。そんな印象がある作家だ。
人が死ぬってこと。
それは、もう会えなくなるってことなんだ。
その人が死んでも心の中で生きてるとかって云うけれども。
その人との「新しい記憶」はもう作り出すことができなくなってしまう。
それが、人が死ぬってことだと、あたしは思ってる。
他人と関わっていく上で、あたしは偶然はないと思ってる。
師匠が云った。
「俺とお前が出会ったのは偶然や。けど、今こうして一緒にいることは、必然や。出逢ってからの全ては、必然なんや」
なるほどなーと思う。

うまくいろんな登場人物が絡み合ってて、それは小説の基本なんだけれども書こうと思ったらたいへんだw

大切な人が死んで、その「大切な人の死」という部分で分かり合える何か。
同じ痛みを知ってる人間同士にしか、癒せない痛みってのがある。
それは傷を舐めあうのではなく、本当に支えあうこと。


死ぬってこと、考えてしまった。


あたしはよく、「あの人、死んだら良いのに」って思う。
それは憎しみではなく、愛してるから。
「オリエのこと愛してるよ」って云われる度に、この人、今この瞬間に死んだら良いのにって思う。


最後に、あたしを愛して死んでほしい。
愛したまま、死んでほしい。


そうすれば、あたしの中で生きてる相手は、永遠にあたしだけを愛してるってことになるから。


あたしはいつも、最後の愛人でいたいな。