high and dry よしもとばなな

数時間で読了。いやぁ、まいった。
先日、かずくんとのメールでのやりとりでこんなのがあった。
かずくんが、ある人の書いた文章をわたしに見せて、その感想を送ったのだけれど。
「これ書いた人は、こういうドロドロしたものも良いけれど
もっと幼い子供の可愛らしいものが書けるんじゃないだろうか、と思う。
うまく云えないけれども、優しいものを持ってるような気がするよ。
優しさが表面に出てきたものを読みたいなぁ。」
まさに、こんな感じだった。よしもとばななって表面的な文体はとても穏やかなのに、書いてる内容はとんでもなく凄味がある。今までは、そんなにたくさん読んだわけではないけれども、もっときつい感じの、女のこわさみたいなものを感じる作品が多かった。けれど、これは、ほんとうに、読んでいて優しい気持になれる。甘い世界をダラダラ書いてるわけでもないのに、とても、優しさに包まれるのだ。
先日かずくんが読ませてくれた文章を、すごい思い出した。きっとあれを書いた人にも、こういう穏やかな優しさが、温かいフリースみたいな手触りの良いものに包まれて、心の中にちょこんと置いてあるんじゃなかなっておもう。会ったこともなく、わずかな文章を読んだだけでどこまで想像が広がるんだよ、と自分で呆れもするけれど。とても強い感性があって、いろんなものを見てきて、傷ついて、自分の中のなにかを守ったり、大切な誰かをほんとうに守りたくて、表面に強さが出てきてるんじゃないかなって感じた。
素直に、優しさを出したらいいのに。そうしたら、たくさんではないけれど、身近な、素敵ななにかをもっと慈しめるんじゃないかなぁって、おもう。
この本は、読んで良かった。わたしが、救われた。
さすがよしもとばなな。天晴れだ。読んで、幸せになれたよ。