「蝶々の纏足」 山田詠美 [『風葬の教室』より]

まったく逆だ、と痛切に感じた。
もしも同じものをあたしが描いたら、主人公は、こっちの子じゃない。
すごくよく分かる女の子同士のあり方。
友達だと言い張り、互いを干渉し合い足を引っ張りあい。
そして妬む。
たくさん見てきたそんな関係を、こんなにあっさりと、深く切り込んで描ける山田詠美は、本当に天才だと思う。
あたしはいつも嫉妬されて生きてきた。
どんなにおとなしく控えめに過ごしていても、目立つ。
そして、妬まれ、面倒な思いをする。
うんざりなんだ。
そういう立場ってのを傍から見ていると、こういう気分になるのかもしれないな。
いつも妬まれて、訳の分からない理屈をぶつけられて、すっかり困っているのはこっちなのに、相手は「おりえが悪いんだ」と言い張る。
なんもしてへんやん。あたし、生きてるだけやん。
そう思っても、誰も認めてくれない。
「あんたと一緒にいると自信なくすよ」
そう云われたときのことを思い出して凹んだ。
けど、この作品はやっぱりすごい秀逸。
名作だなぁ。山田詠美、ほんとにすごいなぁ。