池袋ウェストゲートパーク Ⅱ Ⅲ

一気に読み終える。これは以前、シリーズ一作目を狭子様にもらって読んでおもしろいとおもっていた。現代の申し子ともいえる作品。これからもずっとシリーズで書き続けてほしい。
主人公がお高くなくて、けれど主人公であるためのヒーロー性をしっかりもっている。エンターテイメントとしての軸がしっかりあって、たのしく読める。正直、先が読めてしまう部分があるからハラハラすることはあまりないのだけれど。これにはちゃんと救いがあって、ドラマがあって、悲劇もあって幸せもある。見事だとおもう。
かなりすきだ。
続編が出たら、また読む。
一番お気に入りの作品は「少年計数器」(漢字が間違ってるかもしれない) 。また子供絡みかよ! とおもわれそうだが、また子供絡みだ。わたしは子供が絡む作品を無条件で愛するわるいくせが、たしかにある。
主人公の良いところは、ベタベタしていないところだ。これは男性作家が書くからこそだろう。子宮をもった人間なら、こんなにあっさりは描けない。読者の涙を誘うのではなく、読者に涙を堪えさせるストーリー展開だ。それが、とても良い。
ここで泣いたらこの子を今よりもっと惨めにしてしまう・・・
読んでいて登場人物に気を遣ってしまうほど感情移入していた。
わたしはあまり女性作家が好きではない。好きな人もいるし、今はイロイロ無理やり読まされているものが多いので女性作家の話をすることが増えているが、作品自体を「うぉぉおお すげー」って感じるのは、なぜか男性作家に多い。それは、男性が子宮を持っていない生き物で、作品が子宮から溢れ出てくる体液に浸食されることがないからだろう。
けれど、男性はちゃんと、その体液に浸って生まれてきた。それが、このサバサバしている中にじんわりと滲み出る愛情になってるのだ。
女は、子宮から染み出す体液をずっと産み続けている。作家ともなれば、その液体の量は半端じゃない。生まれてくる作品は、濡れ滴っているのだ。男性は、自分でその液体を生み出すことができない。なので、子宮にいた頃に吸収した汁を少しずつ吐きだしながら生きている。たくさん吐きだすと自分の潤いがなくなる。少しずつ、表面に薄く塗り付けるようにまぶされた命を生み出す体液。使い方が上手なのだ。
女性作家のベタベタは、自分で生み出せることの弊害なのかもしれない。
読んでいて、そんなことをおもった。
早く続編でないかなー。