欲望という名の電車 テネシーウィリアムズ著

3回読んだ。何度読んでも飽きない。古本で必死に探し出した本なのだけれども。これで200円は安すぎると思った。もっと出しても良いくらい楽しんでいる。けれども、内容は楽しくはない。どちらかと云うと、もの悲しい、とても切ない物語だ。
女が年老いていくこと。それは、やはり、恐怖だ。私は普通に加齢していく分にはあまり気にならないが。それでも、女として生きていきたいがために、避けたいいくつかのことがある。女性として、美しくありたいと思うゆえに、出産が怖い。膨らんだお腹、変形していく乳房。ありとあらゆる部位が女のそれから、母親へと変わっていく。それが、怖い。出産を経験していても、とてもキレイな女性はたくさんいる。身近にもいる。けれども、私は自分の怠慢な性格を知っている。付いた脂肪を落とす努力が、果たしてできるか。絶対に無理だ。なら、最初から産まない方が良い。乳房が垂れないように毎日何らかの努力ができるか、と云われたら、それもやはり、自信がない。
ブランチの悲哀。ここまで極端でなくとも、女性ならば分かるはずだ。これを描いたのが男性だというのが、またすごい。ステラ、ブランチ。ミッチ、スタンレー。この4人の人格を見事に描き分けている。男性らしさも女性らしさも。全てをうまく描ききっている。熱いトタン屋根の猫をあまりおもしろいと思えなかったのは、欲望という名の電車を観た後だったからなのかもしれない。反芻してみると、味わいがあって、良い映画だったなって思い始めた。でも、これには敵わない。
やっぱりマーロンブランドは最高だ。