ポンヌフの恋人

アレックスがはげになっていて気持ち悪くなくなっていた。
花火のシーンがとてもキレイだった。幻想的で。儚くて。でも、力強い。
この作品で、アレックスがずいぶんとまともな人間になってしまっていた。すこし残念で、でも、とても嬉しかった。人の成長を見守っていたみたいな気分。それがウケてんのかな、このトリロジィって。
二人の関係も、良かった。自然で、勢いがあって。
走り出したくなるような、高揚した気分ってのが、ある。ものすごい恥ずかしいときと、ものすごい嬉しいときだ。たいがいそのどっちかなんだけど。私は、走る。じっとしていられなくて、走る。体全部を動かして、モヤモヤした気持を内部から弾き飛ばすみたいな感じ。とても、心地良い。毎回全力で走るシーンがあって。私はそのシーンのたびに、もぞもぞする。体が、疼く。実は一人きりのときに、私はよく音楽をかけて部屋で踊る。誰にも見せたことはないが、踊る。感じるままに体を動かして、肌で音楽を聴いて、体で反応する。それが、気持ちよくて、好きだ。
このトリロジィは、3つとも、違った形で、皮膚に突き刺さるようだった。染み込んでくるんじゃない。突き刺さる。痛いけれども、知って良かった痛み。
知りたくないことがたくさんある世の中で。私はいつも、何も聞かせないでくれと友達に頼むのだが。それでも、知ったほうが良い痛みも、たまに、ある。どうにもできないけれども。知って良かった。