今更ですが鷺沢萠 切ないな

鷺沢萠死んだなぁ。俺の大学の後輩にあたるんや。一回どっかの出版社のパーティーで会ったことあったけど、彼女の作品は良いからなぁ」
先日師匠が電話で云ってた。そんな人にも会ったことがあるのか・・・ と、少し妬んだ。師匠は私がある漫画家が大好きだと熱く語っても、知り合いだとは教えてくれなかった。ケチだ。知ってもどうもしないんだけど。
彼女の書いてるものを読んだだけだけど、あんな繊細でまともな神経していたら、生きてるってことは、茨の森を真っ裸で走り抜けてるみたいなもんだっただろうな。傷だらけになって膿んで痛んで、どうしようもなかっただろうな。でも、服を着ることも歩みを止めることもできない。それが彼女の性だったんだ。想像しただけでも痛い。心臓を握りつぶされるような痛み。私は作品しか知らないけれども。でも実際に会ったら、何時間でも何日でも癒してあげたい人なんだろうなって思ってた。
鷺沢萠のエッセイを今読んでるんだけど。何も悲しくないところで胃のあたりが熱くなる。生きてて辛かっただろうな。イロんなことを感じて、イロんなことを思って。やりきれなくて自分の不甲斐なさを悔やんで。そして自分の無力さを憎む。あまりにも「まとも」だと、生きててしんどい。でも、そうでないと、あんな作品は書けない。なくなってしまったことは本当に残念だけれども。私は彼女の心を抱き締めて、おつかれさまって云いたい。
パタリロの中の名作で「FLY ME TO THE MOON」ってのがある。すっごい好きで何度読んでも間を置かずに読み返しても同じところで泣く作品なのだけれども。彼女のエッセイや小説を読むと、このパタリロのFLY ME TO THE MOONをいつも思い出す。そしてやりきれなくなる。
こんな人が、楽しく苦しまずに生きて行ける環境があれば良いのにな。