汚れた血

何度も見直す。私の悪い癖で、ちょっとしたシーンで色々連想して空想が広がって、気づいたら、訳の分からないシーンがモニターに写っていて、これ、なんでこんな展開になってるの? っていうのがよくあっるのだ。色々連想させてくれて、思考や空想があちこちに飛んで、観終わるまでにめっちゃ時間がかかった。
「汚れたチ」。チだけがカタカナになると、「チ」って人が汚れてるみたいだなぁ、とか。「ヨゴレタチ」になると、どこで区切って良いか分からなくて、汚れた人達みたいだなぁとか。そんなことを必至に考える。そうすると、なんか突然リーズがコンドーム出してきたりして、いつのまにこんなとこに来たんだ、どこから出してきたんだ、と思い、また慌てて巻き戻しをする。
非常に時間がかかる。でも、映画を見てると、たいがい、こうだ。悲しい空想癖。
愛人のお姉ちゃんが、異様にキレイで。そして、アレックスが相変わらず鬱陶しい。ボーイミーツガールに比べたらストーリーがはっきりとあるので、だいぶん分かりやすいが、それでもアレックスは気持ち悪い。アレックスが、女の子を慰めるために、あれこれ芸をするんだけど、その時に、小鳥の鳴き声とともに、顔面がアップになる。その顔面を見て、私は、寝ころびながら後ずさりした。怖い。怖いよう。気持ち悪い顔だよぉ。助けて食べられる。生理的に嫌悪感を抱いてしまう顔立ち。可哀相だ。申し訳ないと思う。本人に罪はないのに。気持ち悪い。知人にも、いる。嫌悪感を抱いてしまう人が。彼に昔付き合ってくれと云われて、私は半年間逃げ続けた。「なんで俺じゃあかんねん!俺のどこがあかんねん!」と怒鳴った彼に、「え、顔」と真顔で答えてしまい、彼は本当に泣いた。涙出るほど悲しかったんか、少し反省したけれども、本音は隠し通せないものだ。その彼に、似てる。顔立ちが。
吐き出す言葉も、独りよがりで、自分勝手に捏造した話で人を追い込もうとする。はっきり云ってイヤなやつだ。すごい嫌悪感で不愉快指数がガンガン上がる。あたしはこういう自分勝手に誰かを傷つけて、結果自分だけ美味しい思いをしようとする人間はダイッキライだ。でも、けっこう、近くにいたりする。可哀相になるので、突き放せないのだ。憐れで、何とかしてあげたいって思ってしまう。
アレックスがこの監督自身の投影なのなら。レオスカラックスは、とても可哀相な人で。そして、友達だったら、正座させて3日くらいオリエんちに泊めて説教してる部類の人種だ。
最後、走ってるシーンは、すっごいすっごい、キレイだった。あの女の人、すごい好きだ。髪を吹き上げる癖、可愛すぎる。あんな子がそばにいたら、いつも一緒に遊ぶのに。