本と苦情と愛情

狂ったみたいに本を買う私と同居を始めて、わかは本を買わなくなった。笑いや本、映画などの趣味はまったく同じなので、互いに勧めあい感想を言い合える関係は、とても理想的で良い刺激になっている。
ツボが同じであるオリエがおもしろいと云う、イコール、わかにとっても絶対におもしろい。
簡単に成り立つ図式だ。
六三四の剣から始まり、デビルマン松本大洋萩尾望都岩館真理子まではのんびり楽しんでいたわかちゃんだが。
十二国記にハマリ、一気に睡眠時間が激減した。そのペースで今、エマの五巻が出ていないことに憤っている。
まだ出ないよ、月刊誌に連載なんだから・・・
いやあああああああああああっ。
かなり、うるさい。
今彼女は夜勤に行っているので、生活パターンが私と逆になっている。私が起きる頃に眠り、私が晩御飯を食べる頃に朝食を採るのだ。
十二国記が悪いねん。昨日もエマ読んでて五時間しか寝られへんかってんから! 」
「云うとくけど、あんたの睡眠時間が足りてないのは十二国記のせいでもエマのせいでもオリエのせいでもなくて自己管理能力の欠落してるわかのせいやで」
「わかってるわ! もう!」
ぷりぷり怒ってておもしろいので、とどめを刺してやった。
「次は、ときめきトゥナイトを導入しようかと思う。蘭世の乙女心と真壁くんのボクシングシーン、星の瞳のシルエット世代の私たちには、きっと素敵な再会になると思うのよぉ」
「うわああっ、読みてー。神谷よーこも出てくるねんやんな・・・ 買うなら見えへんとこに隠しててな。また寝られへんわ」
「うん。二巻まで本棚に入れて、続きはあちこちに隠しとくわ。トレジャーハンターわかこ として張り切って生きてね」
「寝てるとこ起こすで。あんたは絶対に起きる。そんで寝起きは妙に素直やから、全部ありかを云うてまうねん。ケケケケケ」
んー、確かに、寝起きに聞かれたらうっかり教えてしまうかもしれない・・・ ときめきトゥナイト導入して、次は何にしよう。小説ばかり読んでいる私の横で漫画ばかり読んでいるわかは無邪気でかわいい。