忘れないうちにまとめておかなくちゃ!

わたしは期待と要求をごっちゃにしていたんだ。
わたしがいつも許せない、受け入れられないと感じていたことは、すべて最初に相手の口から公言されたことだった。
たとえば、「私は誰の世話にもならずに生きていきたい」と口にした人間が生活保護を受けいていることが許せない。おまえ、誰の世話にもならんのんとちゃうんかい!と。
だから、同じ内容でも、許せる相手と許せない相手がいる。判断基準はいたって明確。そいつが、その事柄に対してどんな意見を持っているか、だ。
人間は弱い。流されることだってあるし、理想だけを語ってしまうことだってある。結局、わたしが求めてるのは素直さと正直さなんだな。
意地を張って強がりを云ってしまうことが、ある。ぶっちゃけ、意地になってるんだなってのは、その場で分かる。普段めちゃくちゃ頑張っている人間には、あたしは優しい。底無しに優しい。そして、丸ごと全部受け入れる。でも、日常からカッコ付けたことばかり口にして机上の理想論だけを語る人間には、非常に厳しい。どこまでも追い詰めたくなる。
東京に出てきて約半年ほど、生活にかかるお金は全部あたしが出していた。家賃、光熱費、食費、必要な家具も全部買った。同居人は、そんな状況で京都に遊びに行ったり、ほしいカバンを買っていた。でも、そのお金を生活に充てろと云ったことはなかった。彼女はずーっと家にいて漫画を読んだり近所を散策して半年もの間、どこに出しても恥ずかしい人間のクズだった。あたしは黙って金を出し、遊びに行きたいと云えば連れて出かけ、一切口出しをしなかった。
約2年、同居人は狂ったみたいに働いていた。一日2時間睡眠で独りで店舗の模様替えをしたり、転勤で地方に飛ばされ寂しいおもいもしていた。あたしはやつが戦ってるのを見ていた。だから、やる気になるまで黙ってた。
「あんたはあの半年間、私に何も云わへんかった。脱け殻みたいになってた私と一緒にいてしんどかったやろ。よくあれだけやってくれたなぁ」
同居人が先日、酒の勢いで語り始めた。
「あたしは、あの賭けに勝っただけだよ。投資して、勝った。ただそれだけのことだろ」
「でも、もしかしたら負けるかもっておもわなかったん? あのままずっと私が仕事しないままで終わるって考えたりせんかったん?」
「勝ち負けは考えてなかったな。好きなように生きていけば良いとおもってた。あたしはあのとき、ああしたいからしてた。あそこで終わる人間なら、それはそれで良かったし。別に働いてほしいとも感謝してほしいともおもってなかったな」
あたしが、同居人にそれだけのことができた理由。それは、彼女がカッコ付けたつまんない意地を張らなかったからだ。いつでも正直に生きてる人間は、受け入れられる。

他人の批判をするときは饒舌になるのに、本人が何も実行できていないときに、あたしは我慢ができなくなるんだ。
「おまえ、その口で云うたんちゃうんか、こら。首の上に乗ってるもんを通してものしゃべらんかい、あ?」
云ってることと やってることの違う人間が、ものすごーーーーーーーーーーーーーーっく嫌いなんだな。

かずくんの書いたものを読んで、分かった。期待してるんじゃないんだ。責任を求めてるんだ、あたしは。

かずくんのように、同業者にプロの自覚は求めない。あたしは、全部独りでできる仕事しかしないから。だって、人と関われないんだもん。人間関係築くの苦手だし。だから、同業者にプロ意識は求めない。ただ、プロ意識なんて言葉を一度でも口にした人間には厳しい。
「わたしは何もできないんです〜」って云ってる人間には、厳しくないよ。っていうか、相手にしないから、腹も立たない。ああ、そう。んじゃおまえはずっとそこにいろ。そうおもって、終わる。

あたしに対して「復讐してるんだとおもってた」と云った人は、云ってることとやってることが、まったく違った。もうびっくりするくらい、違った。それが、許せなかったし、受け入れられなかったんだ。

適当なことを云ってて、あたしはよく叱られた。「言葉にするってのはな、ものすごい責任を伴うことなんや。しっかり考えて、一回口にしたことには、すべてに責任を取れ。それができないなら、口を開くな」二十歳のころに、21才の人に云われた。こいつ、こんな若いのにすげーとおもった。そして、それを云えるだけのことを、そいつは実践してた。こいつに認めてもらいたい。そうおもえた。

なんかすっきりした。そうだ。言葉にするってことの責任。それをあたしは云いたかったんだ。気分がいい。