蟻の巣に、水を流し込む。入口が柔らかくなり、棒でつつくとボロっと土が落ちる。
わたしは何をこんなにいらいらしているのかを少し冷静に考える。
怒ってはいない。悲しんでもいない。ただ、気に入らないのだ。いらだっている自分に不快感を感じる。
ああ、まだ心のどこかで無心に人を信じたいと願っていたのか…
自分の愚かさに憤っているんだ。
誰かを信じるというのは、とても自分勝手で自分本位だ。
あたしにはまだまだ足りないなー。つまんない人間だ。
今のあたしはぶ〜んって飛んで、木造住宅に住むランニングにトランクスの石ころみたいな兄ちゃんにぱちんと潰される、そんな生き物だな。