悲しいことー

誰かに嫌われることには、慣れてる。でも、妬まれることには、いつまで経っても慣れない。
「おりえに欠けた部分のひとつだよ。妬みって誰にでもあるもん。おりえさえいなかったらって云う人の気持、わたしは分かるよ。あんたは、ただそこにいるだけで人から自信を奪うから」。
キヨミが凹んでるわたしに云った言葉。よく分からない。わたしは目立たないように、静かに暮らしてるつもりなんだけど。
人を妬んだり憎んだりする感情がほとんどないわたしには、彼女たちがわたしに向ける痛いほどの目の光りの意味が分からない。
「おりえさえいなかったら」。今までどれだけの人間に云われたんだろう。わたしがいなかったら何かが変わるんだろうか。彼女たちに、何か温かいものが訪れるんだろうか。
もし、そうなのなら、消えてしまえたら良いなっておもうよ。
産みたくて産んだ子じゃないって云われて、わたしは育った。何度もおろそうとおもったって、ずっとずっと聞かされてきた。産んでくれてありがとうって、母には言い続けてきた。
でも、ときどき迷う。あのとき、母はわたしを殺しておくべきだったんじゃないかなって。悲劇でも悩みでもなんでもない。ただ、漠然と、そうおもう。