お風呂に入って考えた

最近考えているのは、どうしてわたしは「ふつう」に生きていけないんだろうってことだ。ここでいうふつうってのは、ちゃんと就職して決められた時間に決められた場所で、決められた仕事をこなし、毎日朝起きて出勤して簡単に休んだりせず、いつか結婚して子供を作ってっていう生活のことだ。

まず就職。実は、大学を卒業するにあたり、就職が決まっていた。といっても、わたしは面接にも行ってないし履歴書も書いてない。キヨコの信者さんが「先生のお嬢さんなら、ぜひうちに!」と内定を2個もとってくれていたのだ。「どっちがい〜い?」。どっちもいらん。あたしは就職なんぞせん。一蹴して、いまだに一度も後悔していない。興味がなかった。どうして卒業したら就職しなくてはならないのかが、ほんとうに、いまだにわからないのだ。
正社員になったらいろんな保証がつくらしい。でも、わたしは何も誰も信用していないので、そんな会社が潰れたら終わるような保証の何を安心材料にすればいいのかがわからない。国だって、いつ崩壊するかわからない。自分の面倒くらい自分でみるわ。放っておいてほしい。そう考えたら、就職にはまったくなんの魅力もない。
毎日決まった時間に決まった場所で仕事をしているわたし。想像もできない。
先日、昔教えていた生徒から電話があった。生徒が云った。
「ぼくね、おりえさんのこと、ちょっとわかったんですよ。おりえさんって、きっと大富豪とかになっても、突然コンビニで時給600円で働き始めたりするんですよ。そのコンビニで誰よりも上手にお菓子を陳列するとかいうことにすごい燃えて、一月も経たないうちに、一番になっちゃって飽きて給料も受け取らずに辞めるんです。そういう人なんだなってことがやっとわかったんです」
ぁぁ、すごいな。その通りだ。じっさいに、そういう計画はしている。「すごいやん。大人になったねぇ」って笑ってたんだけど。彼はこの推測をわたしがたやすく受け入れたことが嬉しかったようで、自分の思い描くおりえを語ってくれた。めちゃくちゃおもしろかった。とにかく、ブレーキが壊れていて、全力で常に走ってて、ときどき休憩するときが危険らしい。どこかに飛んでいくような気がするそうだ。それがこわいから月に一度は携帯がつながるか確認するために連絡をくれる。すばらしい。こういう生徒はもっとくべきだ。
また話が逸れた。つまり、やっぱり、まともに働けない体質なのだ。
どうしたら働けるのかってことを考えるのではなくて、みんなどうやってテンションを保ってるのかを考えなくてはならない。精神状態を均一とはいかないまでも、ある程度一定に、人に会ったり外に出たりするのが億劫にならない程度に保っておく方法が、きっとあるんだと思ってたんだけど。どうやらそうでもないらしい。みんなそんな落ち込んだり塞ぎ込んだりしないみたいだ。世間では「鬱」っていうみたいだけど、そんな深刻なもんでもないしなぁ。ただ単に、疲れがひどく溜まって動けなくなるだけなのだ。身体も心も動かない。ただそれだけのことなのだ。
虚弱体質がわるいのかな。どうなんだろう。みんなどんなふうに乗り切ってるんだろう。この陰鬱とした気分を。