渇き

渇いた砂に水を滴らせる。
水で流れてしまわないように、その状態で潤いを取り戻せるように、少しずつ、染み込ませるんだ。
そんな愛情にふれて、少しずつ戻ってくる感情と、少しずつ薄れていく記憶。
濡れた砂に文字を書くように、彫り込まれたイメージ。
渇いた砂に文字を書いたような、不安定なイメージ。
水分は悲しいくらいあっけなく蒸発してしまって。
また渇いた砂に戻ってしまう。
風に飛ばされてあちこちに飛び散ってしまう前に。
形を作り上げないといけない。
砂の城は、どんな形にもなる。何度でも作りなおせる。
だから、ゆっくりやれば良いんだ。