脳内整理

今更何を云ってるんだろう。
そう思うことがよくある。
私は幼いころから家族の悪口をあちこちで聞いて暮らしてきた。母の実家では母を、父の実家では母と姉を、家では父を批難する言葉をずっと聞かされ生きてきた。それは家族の愛をただひたすら受けて育っている時期には、けっこうきついものだった。
悪口を云う人は、悪口を云うだけの理由があるのだ。それだけつらかったのだ。こんな幼い私に愚痴ってしまうほど苦しんできたのだろう。ずっとそう考えて飲み込んできた。誰にも云わず、聞きたくないとも云わず。きっと、幼い私は、我慢していたんだろうと思う。
そのころ何を考えていたのかなんて、もう覚えてはいない。ただ、あんなの聞かされたくなかったな、と思い出すだけだ。
幼い子に親や肉親のことを悪く吹き込む大人たち。それぞれの苦悩。それを抱え込んだ子供。
また一つ、澱が大きく膨らんで浮かんできた。こんなのもあったのか、と自分で驚いている。
生理的に受け入れられないことがけっこうある。それらは全て、私の中で解決していない澱に含まれていることだ。また一つ浮いてきて、これでまた一つ向き合うことができる。
私は母を許した。受け入れて、愛している。そしてまた違った部分で、心から早く死んでほしいと願っている。そうすれば、もうこれ以上、彼女を恨むことも苛々することもなくて済むからだ。同じときを過ごすことが増えなければ、私の中にある母に対する説明できない気持を増やすこともまた、なくなるからだ。早く死なないかな、キヨコ。もう、本当に、うんざりだ。