Nさんとの憂鬱な時間

「出たー」。Nさんが云った。思わず「出ましたー」と云ったら笑ってた。つかみはOK。
違う。
原稿用紙にして24枚。赤がいたるところに入る。最後の数枚は、赤が一切入らずに返された。
「ここは、赤を入れるのも面倒なほど悲惨だってことですか?」
「ん? ああ、そこな。なかなかええんや、そこ」
新聞を広げて、こちらを覗き見て、またすぐに新聞を読み始めた。
なんとなく、分かってきた。
「あたしって、すごいですねー」
「うん。おまえはすごいよ。それは認める。認めたるから、はよ書き直せ」
うひょひょ。ふっかーつ。