久々にきた、菩薩・観音

菩薩のようだ、観音様のようだ、と、本当にしょっちゅう云われる。ここんとこ、人と接してなかったのでパタッとなかったのだが。
スーパー自転車で行ったんだけど。店の前で、おばちゃんが自転車をガシャーンと8台くらい倒した。乾いた風が強く吹いていて、それが追い討ちをかけて、また2台、バタバタと倒れた。ごく自然に、倒れた自転車を起こすのを手伝って、おばちゃんに怪我なかったですか? とか聞いて、立ち去ろうとしたときに、振り返ると腰の曲がったおじいちゃんが立っていた。
両手を擦り合わせ、私を拝んでいる。
なんじゃこの人は。どないしはったんですか? なんかの禁断症状とか、ボケて徘徊してんのかなとか、イロイロ考えてすごい不安になって、名札付けてないかな、迷子かな、と。道端で拝まれたのなんて初めてなので、びっくりしてしまって、おじいちゃんを引いて端に寄った。「どないしはったんですか? 大丈夫ですか?」じいちゃんは、手を合わせたまま、顔を見上げて「観音様じゃ・・・」と。「あんたは観音様じゃ。ありがたい、ありがたい・・・」。
どうして良いか分からず、しばらく拝まれて帰って来た。
帰宅して、引越しの荷物を解いていたら電話が鳴った。Nさんからだった。「おお、観音様のオリエか。今良いか」「観音様って何ですか?」「いや、ここんとこお前の行動をイロイロ考えてみたら、おまえには頭が下がるよ。観音様みたいやって思ってな」。
きた。連発できた。久々に云われたと思ったら2連チャン。Nさんは、わかちゃんとの電話での会話を聞いててそう思ったのかなってのは分かるんだけど。
じいちゃんは、なぞだ。
神社に自転車で突っ込んでって、跨がったまま賽銭を投げて拝むような女だぞ、あたしは。しかも小説書いてないのに「小説家になれますように」って拝んだあと、人事は尽くしたので、あとは神様が天命を全うしてくれるだけですね! なんて云っちゃう女だぞ。どう考えても、観音ではないだろ。
この観音・菩薩関係の形容に関しては、いつもなぜかあまり誉められているように感じられないでいる。感受性豊かですねっていう評価と同じような抵抗感がある。まーいいや。じいちゃん、面白かった。死んでないと良いけど。