姪っ子 葉月高校一年生

長女の子ども、私にとって姪にあたる葉月ちゃんが高校生になった。「オリエちゃんがやってたテニスをする」と云い、テニス部に入部したので、一緒にお祝いの買い物に出かけた。私が高校時代、顧問のオサムから借りパクしたラケットのガットを張り替えて、葉月に予備のラケットとして使わせようとガットを買いに。あとグリップテープとか振動吸収体とか。テニスをしていたら、欲しくなるものはたくさんある。他校の生徒が使ってるのを見てほしくなり、お小遣いから買い揃えるのが普通なのだが、それを買ってしまうと、帰宅途中の楽しい買い食いを我慢しなければならなくなる。友達と一緒に過ごしていく時間の中で、楽しく使えるお金ってのがあって。今私が友達と道端でタコヤキを食べるのと、高校の頃のタコヤキの味は違うのだ。夏の味がしたり、笑い声の味がしたり。今このときにこそ楽しく使えるお金ってのが、存在する。そういう生きるお金をお小遣いで使ってほしいので、高校生になったら欲しくなる小物は全部買ってあげる! と二人で出かけた。その代わり、買い食いとか、友達と映画を観に行くとか、そういうのは絶対に行ってきて!と。そんなお金が足りなかったらお小遣いあげるから云いに来い、と。
まずスポーツ用品店に行って、テニスに使う小物をチェック。グリップテープでミッキーマウスのとかがあって、感動。私の頃にはこんな洒落たものはなかった。「はーちゃん、これどうよ、これ! どうせなら可愛いの使ってよ」本人よりも浮かれている私を見て葉月は笑い続ける。お友達とおそろいで買うラケットと、オリエのお下がりのラケットの二つ分。全部2個ずつ買った。グリップテープなんて一月でダメになるので、4枚買って、靴下も可愛いのを買った。女の子だから、クラブが終わったら顔を洗ったり髪を梳かしたりするので、可愛いコームを探して購入。それが入るポーチは見つからなかったので次回に保留。友達とお手紙の交換もするでしょ、と便箋を買い、定期入れを持ってないと云うので定期入れを探し、ひとまず、いずれ欲しくなるであろうと思われる小物を片っ端から買った。すごい満足。
葉月は本当におもしろい。私にとって絶大な存在である姉の子なので愛してるのは当たり前なんだが。他人として出会っててもファンになっただろうなぁと思わせる。素直で敏感で思いやりがあって、厳しい。私の好きなタイプの要素を凝縮させたみたいな子だ。可愛くて仕方ない。小学生になったばかりの頃、帰宅が遅いと心配していたら、満面の笑みで帰って来て「何してたの?」と聞くと「これ集めててん」とビニール袋を私の前に差し出す。中にはチョークの粉がいっぱい入ってて「これな、全部の教室回って集めてん!」と云う。心配していたのを忘れて笑ってしまった。「キレイやろ?」と嬉しそうに云うのでキレイだねぇと答えるしかできなかった。行方不明になったと大騒ぎになり、給食室の隅で生の固いマカロニを齧っていたのを発見されたのが保育園の頃。本当に好奇心旺盛で突拍子のないことをする。そんな訳の分からない姪っ子が愛しくて仕方ない。
私は高校時代、姉と暮らしていた。毎年お誕生日に、姉がテニスシューズを買ってくれた。姉と出かけて一緒に欲しいものを選んでいる時間が、すごい楽しかった。この色良いねぇとか。履き心地悪いで、だとか。そういう時間が、すごく嬉しかったのだ。葉月は今家に帰って機嫌よく今日の報告をしているらしい。姉から逐一メールが来る。私が、姉からもらったあの楽しいステキな時間を、葉月にあげれていたら、すごくステキなことだなって思う。