脳内整理 1 「利己的な行動」

人の行動の基本パターンはすべて「利己的」である。誰かに親切にする、誰かを助ける。そういった一見、利他的な行動も、本質を突き詰めれば、すべて利己的な行動といえる。
たとえば、困っている人を助ける。相手は困っている。それを助ける。助けるというからには、多少の自己犠牲を払う必要が生じる。その犠牲はお金かもしれないし、時間かもしれない。労力であるかもしれない。何らかの犠牲を払うことは避けられない。とにかく、今は、他者を助けるということを、「自分の持つ何かを犠牲にして、他者に何かを与える行為」であると定義する。こうした人助けを行っている人は数多くいるし、それは一般的に素晴らしい行いだと認識されている。
が、しかし。人の行動はすべて利己的なものだ。こうした自己犠牲を厭わない人間なんて、いない。一見「自己犠牲を厭わない」と見なされる人も、最終的には、犠牲にした分、必ず何か代償を受け取っている。本能的な部分で、きちんと計算されている。その受け取っている代償は、多くの場合、感謝であり、評価だ。人が社会生活を営む上で、感情がある以上、「感謝」と「評価」はかなり重要な役割を担っている。より高い評価、より多くの感謝を受けている人間が、社会的には「素晴らしい」人間であり、生きていきやすい環境に囲まれる可能性が高まるからだ。どうせ生きていくのなら、より暮らしやすい環境、より自分に利益のある環境であることが望ましい。人を助けるという、一見利他的な行為は、自分が生きていく上で、最終的に必ず、利己的な結果をもたらす。