なんでこんなに愉快なんだ

実家に居座っている。今日、キヨコの旦那が久々に帰ってきた。おっちゃんは、仕事の関係で週に二日くらいしか家に帰ってこない。
おっちゃんは、3時間に一回くらいのペースでキヨコに電話してくる。今日は帰るコールがあった。
「おっちゃん、おりえ。近くまで来てるんやって? ちょっと散らかってるけど、寄ってってよ」
おっちゃん大笑い。「ああ、ほんなら寄せてもらいます〜」。「おじゃましまーす」と自分で購入したマンションに入ってくるおっちゃん。ソファで足を伸ばし寛いでいるわたし。
「ああ、よう来たねぇ。まぁ上着脱いで座ってよ」
キヨコはもうげらげら笑ってて、おっちゃんもノリノリで相手をしてくれる。
ちょっと早いけど、もう今回でとうぶんこっちに帰ってこられないので、父の日のプレゼントを用意していた。おっちゃんの好きなブランドのブラウス。結構なお値段なので、おっちゃんはボーナスが出たら一枚買うのが楽しみなんだそうだ。おっちゃんの趣味がわからないのでキヨコに見立ててもらって、「まぁそこに座ってよ〜」と云い座らせたあと、正面に正座して
「いつも母がいい顔して笑ってるのは、おっちゃんのおかげです。これからもよろしくおねがいします」
謹んでお渡し申し上げた。おっちゃん、一瞬にして、凍りつく。
まさか父の日のプレゼントなんて想像もしていなかったみたいだ。受け取って、開けてくれた。
「ああ、これ!! あれか、あれやろ」。さすが好きなブランドだと豪語するだけあって、一目で気づいたらしい。満面の笑み。
わし、風呂入ってくるわ、と急いでお風呂に行ったので不思議におもっていたら、入浴してきれいにしてから袖を通したいとのことだったらしい。湯上りですぐに着てみてくれた。少し派手かなとおもっていたのだけれど、よく似合ってる。
「ええやん、おっちゃん、よう似合ってるわ。それでキヨコとお出かけしたってよ!デートデート」
「うん、ええわ、これ。ありがとう」
鏡の前でくるくる回ってるおっちゃんはかわいらしかった。
今日、入学式を迎えた姪っ子にはお祝いに現金を包んだのだけれども、学校に行くかばんが自由だというので買いに行った。今は姉ちゃんの負担を少しでも軽減したい。ちょうど高校生の姪っ子がわたしに会いに連日遊びに来ていたので「現役の意見を聞こう!」と3人で買い物に出かけた。
高校生の姪っ子、はーちゃんと二人で盛り上がるわたし。このぬいぐるみをここのポケットに入れてさーと、かわいいカバンの使い方を二人で相談しあうが、祝われる当の本人は首を傾げている。
ほんの2週間くらい前までは小学生だったんだものな。感覚がわからないのかもしれない。
結局、はーちゃんが今高校で使っているカバンと同じような形のを購入して帰宅した。
2番目の姉ちゃんは、昨日入学式で、今日が初登校。帰宅するなりお祝いのケーキをみんなで食べて「おめでとー」と乾杯した。その間も、次々にみんなでネタを繰り出し笑い続けている。
疲れて帰ってきているのに眠れないおっちゃん。かわいそうに。
おっちゃんのことを考え、もうひとつのマンションにみんなで移動。
うちの家は女ばっかりなので、おっちゃんにはうるさすぎるんだろうなぁ。
とにかく、あまりにも笑って寛ぎすぎたせいか、わたしの顔が本来の顔に変わった。

かずくんくらいしか、見たことないかもしれない。
実は、あたしは、右目が一重なのだ。昔は疲れが溜まっていたり病気になったときだけ二重だったのだけれども、一人暮らしを始めてからは、コンタクトレンズを入れていれば二重になっていた。
それがコンタクト入れてるのに、右目が一重になってる。今朝起きて驚いた。
「ちょっとキヨコちゃん、これ見て! おりえの目が一重になってるよ、ほらほら」
あんた右は一重やんか、と笑うキヨコ。そうだ、この人はこっちのが見慣れてるんだ。
でも、あたしは7年ぶりに自分の右目一重を見たよ。これが、あたしの顔だ。
実家ってすごいなっておもったよ。
でも早く東京帰りたい。