破壊の星

なんだか分からないがめちゃくちゃ忙しい。そんな中、パソコンが壊れた。で、仕方なく電気屋に出かけた。
ほとんど寝てなくてふらふらしながら歩いていると格幅の良いおじさんが話かけてきた。
突然すみません。あなたを占わせてもらえませんか。
新手のナンパかと思ったが、違うみたいだ。新人占い師の武者修行でもなく、名刺を見たらすでにバリバリ占い師として活躍してる模様。疲れていたし座りたかったのでお茶くらい良いやーと喫茶店に入った。
あまりに力強い目をしてらっしゃるので。とても興味を持ちました…
コーヒーを飲みながら、おじさんはわたしが書いた母、姉二人と私自身の誕生日を眺めて一人、頷いている。私は牛乳を飲み、おじさんの仕草の一つ一つを見逃さないように観察していた。
「いやぁ、すごい。あなたは破壊の星を持っているんですね」
ハカイノホシ??
「あなたは築きあげられたもの、枠組みのできたものを破壊して、また作り直してしまうんですよ。自分の好きな形に。このお母さんじゃ、あなたを持て余したはずです。とてもじゃないけど手に負えない。とても、強い運を持ってますねぇ」
えっと… 強運なのは間違いないんやけど。母が私を持て余したん?
「そうじゃありませんでしたか?お母さんの手に負えないようなことをしてきたでしょう。お姉さんの手にも負えないですね。あなたをコントロールできる人なんてそうそういませんよ」
ぁぁ…。ううーん。母が私を手放すきっかけは、私がぶちギレて暴れたからだった。でも、認めたくねぇ…。
「珍しいタイプですよ。あなたは揉め事を起こすタイプ。台風の目ですね。回りを破壊して歩いてますよ」
破壊の星て、あんた今適当に作って面白がって言うてみたたげやろ。言いたかったが、なんだか大きく間違ってないような気がするから黙って聞いてた。
このおじさん曰く、おりえは周囲のあらゆるものを破壊してしまうらしい。そして、枠にはまるのが嫌いなわけではなく、できないのだ、と。だから、周囲が作った規格や常識を無視して生きる。社会生活はできないことはないが、周囲が迷惑するそうだ。
初対面で、頼んでもないのにえらい云われよう…
帰宅してキヨミに電話したら、彼女は大ウケして言った。
破壊の星!うまいこと言うやん、その人。
え゛。なんか悲しかった。