華氏911

ぜひ、ブッシュを擁護した映画も観たい。
人の命って、何なんだろう。いつも思う。安いなって。立場によるんだろうが。
わかが最近酒を飲むと挑んでくる議題がある。議論が好きな人間ではないので、私を使って必死に答を探そうとしているだけなのだろうが。毎回、同じことを聞いてくる。
「ときが止まるのは、どう思う?」
誰か近しい人が亡くなることによって、自分の時間を止めてしまう人がいる。物理的な時間ではなく、当たり前だが精神的な時間。今、わかの中で最も大きなテーマらしい。毎回アプローチを変えて自分の意見を伝えてみるのだが、わかの目が訴える。もっと他にあるだろ。
私は、血縁者を5人亡くしている。二人は祖母。一人は実父。あと二人は姉の子だ。
ときを止めるのはたやすい。逃げ込めば良いのだ。けれど基本が戦う人間の私には、時を止めてしまうことは生きることを放棄したのと同じで。それならあっさりと命を投げ捨ててしまった方が良いと思ってしまう。いつまでも死んだ人間のことを思い、立ち止まりうじうじしているのは故人に対して失礼なように思うのだ。逃げ込む場所にしてしまうなんて。私だったら、自分が何もしたくない原因を私のせいにされたら頭にくる。私が死んで、誰かの時が止まっても、愛されていたなんて感じられない。
華氏911でメインにあったイラクの問題で。夥しい死体が出てくる。一度にまとめて見てしまうと「たくさん死んだ」と思ってしまうが、一人一人に人世があって生活があり関わってきた人達がいたのだと思うだけで、いたたまれない気持になる。切ないな。
時が止まる。人の命が奪われる。血が流れる。叫びが聞こえる。平和に生きてるだけでもあちこちが痛むのに。こんな戦場にいる人達は、どんな痛みを抱えて生きているのだろう。
それが分かったら、私はワカに、明快な見解を与えてあげられるかもしれない。