若き獅子たち

すげータイトル。原題は「young lion」 まんまやん! 愛して止まないマーロン・ブランドが出ているので血湧き肉躍るって感じで興奮しまくった。
メインの登場人物は3人。その三人が若い獅子なんだろうな。本当に昔の映画って小細工がなくて人間が生きてて良い。この映画はDVD買っても良いくらい深くて何度でも楽しめると思う。
ユダヤ人のアメリカ軍兵士、俳優のアメリカ軍兵士、そしてマーロン・ブランドの演じるドイツ軍将校。それぞれがすごくキャラが立っててうまく描かれている。完成度の高い作品というのは、登場人物が最後にちゃんと終結するものだ。どこでこの3人がリンクするんだろうって考えていたんだけど。まさかあんな形で3人が揃うなんて。あまりにもリアルで容赦がなくてたまらんかった。
ユダヤ人の男性は、とても精神的にかっこいい。結婚してすぐに出兵。彼女が面会に来て、子どもができていることに気付く。そのときの嬉しそうな顔。それだけで涙が出た。良い顔すんなぁ。あたしは男性が自分に子どもができて喜ぶシーンにとても弱い。それはきっと私の理想だからなのだと思う。女性が妊娠して喜んでいる男性を、私は今までに一人しか見たことがない。なんて悲しい環境で生きてきたのか、と自分に呆れもするが。男性は、妊娠を喜ばないものだ、という悲しい固定観念が私の中に間違いなくある。「欲望というなの電車」のマーロン・ブランドと、このユダヤ人兵士の演技は、すごく心に染みた。良い役者だ。でも、演技なんだよな、と思うと、やっぱり男性が妊娠を喜ぶんだって思えなくて、少し寂しい気もする。
俳優の男性は、戦争を恐れ死を恐れる。俳優である彼は、いろんなコネがあって前線から離脱することができるのだが。またそれが良い。味がある。とても人間らしいのだ。そうそう、こんなもんだよな、と。でも、やっぱりそこは映画だ。そのままでは終わらない。溺れる戦友を抱き抱え川を泳ぐシーンを観て、またウルウル。最近の私は、涙腺が壊れてるのかもしれない。
マーロン・ブランドは文句なく良い。贔屓してるのかもしれない。それは否定しない。マーロン・ブランドだってだけで、鼻をほじってても、おならしても、お尻をぽりぽり掻いてても「かわいい!」と思ってしまう。上官の奥さんからの誘惑。アフリカに行きたいと志願する目。アフリカで死んでいく人を目の当たりにしたときの表情。上官が死んだと知らされたときの態度。もう全部全部、人間らしくて良い。
最後にマーロン・ブランドは死んじゃうんだけど、そのシーンで「あっ あっあああああっつつつつつっ」と声が出て、すごい寂しくなった。死んじゃダメだよ、そう呟いてる自分にびっくり。そこまで入り込んで観ていたのかあたし。
なんでこんなにマーロン・ブランドが好きなんだろう、と不思議になったりもする。あの悲しい空気。彼の背負ってきたものが背後に見える。いつも、どの映画でも、それぞれの役に見合った過去がちゃんと見える。マーロン・ブランドは、日常生活から役作りをするという演劇のスタイルをやっている人だそうだ。そのせいなのかもしれない。彼の演技は、本当に素晴らしい。そして、彼の演技に、私はすっかり魅了されている。