ジェットマン

oriemon2004-04-27


この「ジェットマン」という言葉をみて「またかよ・・・」と思った人は恐らく私と長い時間会話をしたことがある人だ。数ある戦隊モノの中でも異彩を放つ。誰かさんが「最近の戦隊モノってとんでもないよ」と云っていたが、その源流は絶対にジェットマンだ。ひまな人には是非観てほしい。忙しくても観てほしい。
ゴレンジャーあたりから始まった戦隊モノの中で、ジェットマンは私に強烈な印象を残した。リアルタイムで観たのではない。大学時代に6畳のワンルームに12人も集まり鑑賞会をしてまで観たのがこのジェットマンだ。
何がすごいって、まず、最初から戦士だったのは赤だけ。あとはみんな一般人だ。黄色は農民のライタ。水色は金に汚い女子高生のアコ。ピンクはお金持ちの世間知らずのお嬢様カオリ。そして黒がアウトローのガイ。こんなメンツで地球をすくおうとしていた。
最初に衝撃を受けたのは、敵の攻撃理由だ。たいがいが地球侵略なんて大義名分を掲げているが、ジェットマンの悪役は違う。ゲームなのだ。私たちがボードゲームであちこち侵略して駒を進めて遊ぶ、あれを自分の手下を使ってやってるだけの悪役。なので、ぜんぜん本気じゃない。悪役の宇宙人みたいなのが何人か集まり、ゲームをする。そのゲームボードが地球。ただそれだけ。
最初から戦士として訓練を受けているのは、赤のリュウだけなので、ジェットマンになって一緒に戦ってくれと説得して歩くところから物語が始まる。リュウジェットマンに作り替える光線を当てているときに敵の攻撃を受け、光線があちこちに飛び散り、それを偶然受けてしまった民間人がジェットマンになってしまった。その人たちを捜し当てて説得して歩くのだけれども。金持ちのカオリは「まぁおもしろそう!」。農民のライタは「俺の夢は日本一の野菜を作ることなんだ!」と云って拒否。お馴染みのグッドタイミングでライタの畑が荒らされ、ライタは仇を討つべく仕方なくジェットマンになる。女子高生のアコは「いくらくれるの?」とのたまい、一緒に説得に云っていたカオリが時給を提示してしまう。ヲイヲイ、正義の味方だろおまえら。そして一番私をときめかせたのはガイだ。ガイは最初の登場シーン、夜の町で、博打をしていてイカサマがバレて殴られているところから始まる。そしてリュウの説得から逃げる逃げる。バイクで逃げまくり、なぜか仮面ライダーでお馴染みの岩場に到着。そこでやはり敵の怪人が現れる。リュウが子どもを救おうとして捕まる。それを見たガイは、逃げるのだ。どこまで逃げるねーん! ちゅうくらい逃げる。バイクで。
なんだかんだで5人が揃って、んじゃ戦いましょうってことになるのだが、戦えない。だってだれも訓練受けてないんだもん。ロボットを操縦できない。ちゃんと訓練するところから始まる。これがリアルで良い。「私にはできないわ!」と云って逃げ出すお嬢様カオリ。ずっとそんな地味な話が続く。
話が進むに従って、人間関係が出来上がってくる。リュウの戦う理由は、敵にさらわれた恋人を救うため。でもその恋人は改造されて今は敵の一人として地球侵略ゲームをしている一員になってる。この無情さがたまらん。そんなリュウに惚れるカオリ。カオリに惚れるガイ。第5話のタイトルなんて「俺に惚れろ」だよ。忘れられへんわこんなタイトル。地球を救うメロドラマだ。昼メロなんだこれは。
怪人はみんな「●●ジゲン」と名付けられていて、外見から連想される名前が付いている。信号や踏み切り、横断歩道が身体中にくっついている怪人をみて、みんなで「踏切ジゲンや!」「遮断機ジゲンやろ」と当てあいっこをしたのだが「ロードジゲン」だった。英語かよ! 変なところでハイカラなのだ。いいぞ、ジェットマン
小説もでてるのだが、小説の方では最後にカオリがリュウの子どもを身籠もっている。地球を救うためには5人必要だ。カオリはお腹の子の命と引き換えに、地球を救う。ありえない。子ども向けの戦隊モノで流産。
私はこのジェットマンネタで、塾・予備校時代、生徒の受講継続率トップを取りました。ネタって大切です。ええ。