遺伝再び

人の行動パターンは、あらゆる要因が絡み合ってとても複雑だが、掘り下げていくと、いくつかの基本パターンに分類できる。その基本パターンを、私は「性質」と呼んでいる。人間は必ず追い詰められると、どんなにカシコイふりをしていても、最後には絶対にその基本の性質が顔を出す。そして、その性質の片鱗は、どんなに上手に隠していても、絶対にちらほらと垣間見ることができる。誰かを分析しようと思ったら、まず、その本質を見抜かなければならない。
とてもネガティブな思考を持つ人は、どんなにがんばって前向きに生きていこうとしていても、悩んだときや問題に直面したときに、絶対に本質であるネガティブな性質が顔を出す。「こんな人やとは思わへんかったわ」なんて言葉をよく聞くが、それは本質を見抜けていなかっただけだ。あんたの真偽眼が鈍ってるだけだよ、と云いたい。本質が面倒くさがりの人は、例え本人がどんなに自分で一生懸命考えて行動しようとして日常的にやっていても、余裕がなくなると、やはり本質が顔を出す。「もぉええわ。適当で。なるようになるわ」と、最後には言いだす。
人というのは学習機能が備えつけられているので、自己の欠点を見つけると、それを意識的に修復しようとする。ネガティブな思考の習性を持つ人は、ポジティブに生きようとするし、いいかげんな人は、ちゃんと考えてから行動しよう、と決意して、努力しながら実践していることが多い。なので、多くの場合、一見逆の性質が表面に出てくる。でも、その一見して見える性質は、メッキでしかない。
そのメッキを正しく見抜かないと、人の本質は絶対に見えない。そして、また悲しいことに、多くの人は、自分自身のメッキに気づいていない。