昨日のオリエ

大学時代の友人と遊んできた。タクという子の家で集まって、私が晩御飯を作ることになっていたので、タクと二人でまず、買い物へ。
10分ほど、二人でぶらぶら歩いてスーパーに。タクが、ぼそっと呟いた。「オリエ、俺な・・・ オリエに話しとかなあかんことがあんねん」こんな切り出し方のときは、絶対にネタだ。わくわくして、次の言葉を待った。「あんな、実は、俺んち、まな板が、ない」 ・・・絶句。大笑いして、買えば済むことだ、と探すがどこにも売ってない。なので、フライパンの平べったい大きめの蓋をまな板にして、材料を切った。ベーコン人参じゃがいもタマネギきゅうりetc 切り傷が無数にまな板に付いていく様は壮観だった。箸も2膳、皿は一枚、お茶碗は3個。どうしろって云うねん! と笑いながら、そんな何もない環境で作るのが懐かしかった。大学のときは、いつもこんなんだったな。
バカみたいに笑い続け、真剣な話もして、こいつらに出会えて良かったって、全ての偶然にありがとうが云いたくて、窓の外を見た。窓際には、エロ本が積んであった。
タクに、私が先日云われて驚いたことを報告してみた。「あたしらさ、みんなお互いの素性っていうか、そういう基本的なことを何も知らないって、気づいてた?」どういうこと?と聞き返すタクに、「タクさ、オリエの苗字、知ってる?」え、知らない。「んじゃ、オリエの家族構成、知ってる?」うん。姉ちゃんが一人と姪っ子のホシミ。 ここで私は、もう爆笑。やっぱし何も知らんやん! 「オリエには姉ちゃんは二人。父親がいなくて母がいるだけ。でも母は人生で4度目の結婚を、こないだしやがった」と伝えると「そんなん初耳やわ」と。みんながみんな、お互いのことを知らないのに、「30歳になったくらいには、みんなやりたいことできてたら良いねぇ」なんて、何年経っても当たり前に友達だと信じて、誰も疑わない。そういう私も、タクにはお姉ちゃんが一人いるのは知ってるけれど、他に肉親がいるのかどうかは、知らない。でも、お互いに、笑うツボ・行動パターン、何に傷つき、何に喜ぶのか。そういうことは、知り尽くしている。ちなみに、私はほぼ全員の食べ物の好き嫌いも把握している。それを把握していないと、「オリエママ」は勤まらなかったのだ。たくは、アンコ以外は何でも食べれる。まさくんは好き嫌いはない。ワカにはキュウリと椎茸を与えておけば良い。そういうことを、20人分くらい把握してる。でも、家族構成は、知らない。
それぞれに、それぞれの役割があった。そして、みんなが、お互いのことを、すごい愛情をもって包んでいた。20人くらいの集団で、全員が同じ気持を持っていて、卒業しても未だに持ち続けている。私は、こいつらを尊敬してて。やっぱり、愛してるんだなって痛感した。でも、今回タクに両親がいるのか、聞く気にもならなかったし、実際に、大阪に帰って来た今、まだ不明だ。興味もない。大切なのは、今みんなが、心から笑えているかどうか。私たちには、それだけしかない。けど、それだけで、良い。
よく考えたら、今仲良くしてる友達のことも知らないなぁって思った。どこに住んでるか、本名は何か、そういうことを何も知らないのに、大切に思ってて、大切にしてもらえてるなって実感できる環境にいれる私は、本当に幸せだな、と思う。みんな、ありがとぉ。
晩御飯はリクエストに答えてクリームシチュー。あと、ハンバーグとサラダ。シチュー地獄と名付けた晩御飯を完食しきった彼らに完敗。そして、宮城にいるワカから泣きの入ったメールがきた。「なんでそこに、私がいないのかが、今すごく不思議」と。どうやら、各々が勝手にワカに「楽しいよ、おいでよ」と嫌がらせメールを送信していたらしく。当然私も前日に、「明日みんなに会うよ。待ってるからね」とメールしておいた。宮城から仕事のある中、来れるわけがない。ワカを電話で軽く苛めて、泣かせたので気が済んだ。あいつは苛められて、なんぼの人間。
そういえば、在学中、金沢にいるマケってやつに電話して「オリエが素麺作ってくれたから、おいでよ」と嫌がらせの電話をした。マケは「もう寝るよ、わざわざ嫌がらせありがとう」と行って電話を切った3時間後に、集まっていた家のインターホンを押した。驚かせてやろうと高速を飛ばして、到着したのが明け方の4時。到着寸前で焦ってサイドミラーをぶつけて折れた車をみて、翌日も笑った。素麺は、あれこれ具を作ったので嬉しくなるくらい好評だった。
みんな相変わらずで、良いとこも悪いとこも、ある。イラっとさせられたり、微笑ませてくれたり。でも、良いとこも、悪いとこも、全部ひっくるめて、個人で。私は全部が一緒にぎゅっと詰まってる、彼らが好きだ。
結局真剣な話になってしまい6時過ぎまで話をしていた。役に立てていたら、良いのだけれど。たくりんまた、結果聞かせてね。