ぼちぼち復活

かずくんお待たせ。
かなり元気になってきた。っていうか、忙しくて泣き言を云ってられなくなってる。

忙しくてゴネてる場合じゃないのは以前からだったんだけど。
ついに色々始動し始めて、師匠から拘束される時間が増えてきた。
おりえを横に置いておけて、監視していられるのは、とても師匠の精神衛生に良いみたいだよ。ずっとご機嫌だ。でも、そのおかげでおりえの方は仕事が増えて体力が限界にきてるのも確か。

「おれの尻拭いができる女なんて、そうそうおらん。俺は、俺よりもおまえのことを信用してるよ、あっはっは」

豪快に笑う師匠が憎い。

おまえは大したやっちゃなぁ なんて云われても、あんまり嬉しくないのが不思議だ。

云ってた雑誌の編集会議に、「おりえも行きたい!!」って参加してる。実際に編集作業もさせてもらえるし、企画も提案できる位置に入れてもらった。あれこれと口も手も出せるポジションに食い込んだよ。
初めて参加したときは様子を見てたんだけど、2度目から云いたいこと云ってる。

会議の前、ちょっと早い目に会って、お茶飲んだときに師匠がね、すごいことを云ったんだ。
「モノを作るときに、民主主義はいらん。俺は完全な独裁政治を敷く」
これ聞いてね、すげー、こいつカッコ良い!! って思った。
誰の意見も聞かないって意味ではないんだ。ただ、ダメなものはダメだって判断を容易に下すよ、俺は、と。妥協はしないからな、ってことなんだよね。

この人をこの位置で見ていられるなんて幸せだなぁってしみじみ思った。

こないだのミーティングで、えらそうにしてるとんちんかんな親父の発言に「なんでそんな必要があるのか、理解できません」といい続けてたら、おっちゃんどんどん意見が変わってきて、最後には初めに云ってたこととまったく違うことを言い出した。
私が食い下がって引かないのを見て、師匠は下向いてニヤニヤ笑ってた。

帰りの電車で二人だけになったときに
「おまえ、今日良かったよ。あのおっさん、訳わからんこと云うてたなぁ。あれは、おまえの意見が正しいよ。うん。あれは良かったよ」
ニコニコしながら頬をつねってきて
「よう頑張った」

なんかね、すごい嬉しかった。
単純に気に入らなかったってのもあるんだけど、妥協したくなかったし、私がおバカなことを云ったら師匠が叱り飛ばしてくれる自信があった。私になら云えるだろうって自信が。そして、私が良い事を云ったら、全力で守ってくれる確信もあった。
だから、できたことだった。

なんか、えへへって笑っちゃったよ。

精神的には、友達に救われてる。すごい良い友達が二人できたよ。
今日も少し会ってて、別れ際改札まで送ってくれたんだけど。改札を通り過ぎたら
「おりえ!!」って大声で呼ばれて振り返ったんだ。そしたら、名前を呼んだときより大きな声で「愛してるよ!!」って。うわぁ、参ったなぁっておもった。あったかくて涙が出そうだった。
いつも女三人で遊んでて、汚い部分もきれいな部分も、ぜんぶ愛せる。
私に愛されてくれてありがとうって、いつも感謝できる友達ができた。
友達って言葉は、こそばくて薄っぺらで好きになれないんだけど。あいつらになら、使っても良い言葉だなって思えるよ。

なんとかギリギリのところではあるけれど、ちゃんと生きてる。
おりえは、ぎりぎりが好きだから、これくらいがちょうど良いんだろうね。
また連絡するね。