破滅型

破滅に向かう種類の人がいる。私はそういう人を見つけると、破滅に向かう手助けをしてしまう。
彼らはそこに向かうしかないのだ。救う術は、ある。けれども、手助けはしない。一度助け出したところで、結果は同じだからだ。何度でも繰り返す。自分を追い込み、何度助けても、何度でも破綻する。そういう人種がいる。
散り際は、醜い。醜態を晒し、周囲から疎まれ、ひとりぼっちで果てていく。
どうしようもない。私は見てるしかない。彼らは私に云う。「最期まで見届けてくれ」。知ってるのだ。私が見守っていることを。そして、破綻に向かう道しか自分には残されていないことを。いつも、彼らは恐ろしいほどの嗅覚で見届けてくれる者を選び抜き、私はそれに選ばれる。
甘やかし、ダダをこねられても笑顔でうなずく人間をきちんど嗅ぎ分け、そういう人間を決して手放さない。私も離れようとはしない。
見届けるよ。最期まで。また、破綻の瞬間を、破滅の瞬間を見なければならないのかと思うと、ぞっとするけれども。私の受ける傷よりも、彼らが私に見放されて受ける傷の方が、遥かに大きいことを知ってるから。
でも、やっぱり、こういうのには慣れないな。