乱暴者-あばれもの-

マーロン・ブランドなんですけど。この人のこの匂いというかオーラは演技で醸しだしてるんでしょうか。精神的にやられました。主人公はいわゆる暴走族のリーダーなんだけど。寡默で何かを背負ってるような雰囲気がある。それがマーロン・ブランド
さいころにあった苦しい思い出や、心の傷、そんなものがプンプン匂ってくるような演技。わずかな仕種。女性に言い寄られたときの反応。全てが辻褄が合ってる。アイドル俳優じゃない。この人、ちゃんと演技してる。ひょっとしたら、これがマーロン・ブランドの地なのかもしれない。それはそれですごいことだ。どんな挫折や敗北感を味わえば、こんな雰囲気を醸しだせるのだろう。想像もできない。悲しい空気。けれども、この前に見た「欲望という名の電車」ではこんな人間性は感じなかった。彼のでてる作品はかなり見ているけれども、この作品には独特の彼の人間性が滲み出ていたのか、それとも完璧な役作りをしているのか。
どっちでも良い。彼が演じた役の性格を考えたときに、彼の放出していた匂いや空気、色が全て何の違和感もなく調和していた。そして、その悲しいモノに、私はやられて今すごいしんどい。