「ぼくんち」

すごい感動した。原作のカラーが強すぎてあちこちで「物足りなかった」とか云われてるけど、なんで原作そのものを求めるんだおまえらあほちゃうか、と。
かずくんが日記で書いてたけど、映画には映画のおもしろさがある。文章には文章の。それぞれにしか表現できないものってのがあって、逆も、また然り。漫画でしか描けない世界もある。西原理恵子は漫画でしか描けない「ぼくんち」を描いた。そして阪本順治が映画でしか描けない「ぼくんち」を作り上げた。よくできた映画だと思う。日本の映画らしい独特の空気があった。
関西のとある地方って設定を常に念頭に置いておかないと、へたくそな関西弁にイライラしてしまうが。見知らぬ土地の関西っぽいところの出来事なんだなって思っていれば、良い。セリフの棒読みとかも、あるけれども。伝えたいことは伝わってくるし、映画オリジナルの設定も良かった。「うおお。そうきたか!」と思わず一人で叫んでしまった。すごくびっくりしたけれども、その設定の存在が分かったときに、この映画の奥行きが一気に広がった。
漫画も映画もどっちも楽しめる。別のお話だと思えば良い。岸和田少年愚連隊-望郷編-を観たときと同じような感動があった。映画・漫画・小説、それぞれ手法も描ける世界もまったく違う。この映画は、好きだ。
オリエのツボである「生きてる人」を描いた原作で、その原作の意図は十分に汲まれている。「生活と金」って言葉が連発されるんだけど。生活って言葉を考えてみた。「生きて、活きる」すごい言葉だ。根源的で深みがあって。お金ってものに対する認識が最近また少し変わってきた。それは、メンテって人が送ってきてくれたメールのせいなんだけど。それはまた別の機会に書きたいなと思う。お金って本当に大切。でも、そこで重要なのはなぜそれが大切なのかを考えることなんだなって思わせてくれた。生活と金。すごい端的に、人のあり方を言い表してるなぁと思う。
二人の子供と観月ありさが主演になるのかな。子供が絡むと私は涙もろくなる。子供たちが、本当にいじらしい。うまい演出だ。私は今作家になるとか云ってるけど、本当は作家になったあとに、したいことがある。小さい頃からずっと考えていたことで、かなり具体的な構想ができているんだけど、リアリティのある話としては誰にも云ったことがない。ワカにさえ話してないなぁそういえば。この映画を観て、絶対に叶えようって思った。
あっちゃん、DVD買ってくれてありがとう。何回でも観たい映画です。